2019年度活動報告発表資料を作成し、JSTに提出しました。
当初はJSTにて研究代表者木村教授による発表予定でしたが、緊急事態宣言の影響を受け、テレビ会議での発表も中止になりました。
これからJSTや研究主幹からコメントをいただき、今後の活動に反映させていきます。
提出した資料全体はこちら→JST報告書2019年度(2020年4月13日提出)〔PDFが開きます〕
題目1「セルロース系土質改良材による特殊土改良メカニズムの解明」は、以下のような内容を報告しました(報告書P3~16)。
1. エチオピアに広がる問題土「ブラックコットンソイル」とは?
東アフリカにブラックコットンソイル(Black cotton soil, BCS)という,膨張性粘性土が分布しています.この土は水を吸うと膨張し強度が弱くなり、歩行や車の通行が困難になりますが、逆に乾燥するとカチカチに固まります。
エチオピアの首都アジスアベバ近郊にも広がっており,研究協力機関のアジスアベバ科学技術大学は,その真っただ中に位置しています.
構内からBCSを採取し,まずその物理物性を調べました.細粒分を多く含むこと,液性限界・塑性限界が高いこと,高い膨潤性と、乾燥時に収縮する性質を把握しました。
2. セルロース系土質改良材でブラックコットンソイルの物性はどう変わるのか?
日本ですでに商品化されている、セルドロンという土質改良材があります。シュレッダーくずから生産されており、その原料からFSP(Fine Shedder Powder)と呼んでいます。主成分が吸水性のあるセルロースであり、セルロース系土質改良材とも言います。FCPをその添加率を変化させながらブラックコットンソイル(BCP)に混ぜたときの、BCPのコンシステンシー特性の変化を調べました(下図)。
FSPの添加によるBCSの膨張性の抑制効果は観察されませんでした。
しかしFSPの混合により、BCSの乾燥時に、ひび割れ(クラック)の発生を抑制することが確認されました。
このことから、FSPを混合することで、ひび割れ発生を抑制して水の浸透を防ぎ、深部のBCSの膨張を軽減することが期待されます。
今後は、透水性への影響を検証する実験を継続していきます。
3. セルロース系土質改良材の地中での効果の持続性は?
セルロース系土質改良材であるFCPの、地盤中における長期安定性を調べる実験を行いました。
ジンカ大学構内に設置した実験圃場に、FCPを地中に埋め、約3か月後に採取しました。
この前後の質量変化から、FSPの分解率を調べました。
今後は気象条件や土壌水分量と長期安定性との関係も調べていきます。