研究の背景
サブサハラアフリカにおける道路網の拡張は、市場や病院、学校へのアクセスを可能にし、経済発展のみならず健康と福祉の推進、公正な質の高い教育の確保にも貢献すると考えられています。一方で、アフリカに広範囲で分布するブラックコットン土と言われる膨張性粘性土が道路の施工や管理維持を困難にしていると言われています。膨張性粘性土は水分を吸収すると体積が膨張し、乾燥すると収縮するという特性を持ち、雨季は地盤の泥濘化・沈下 、乾季は 固化・隆起という問題を引き起こしています。従来は、路体表面から深さ方向1~2mを良質土に置換する工法が採用されているものの、良質土が希少化しつつあり、特殊土そのものを改良し地盤材料として有効利用する必要性が高まっています。
プロジェクトの目標
本国際共同研究では、在来植物由来の土質改質材を開発し、地産地消型の特殊土対策運用モデルを構築することを目指しています。本プロジェクトは基礎研究 、応用研究、研究結果を実用に繋げる社会実装の3つの面を持ちます。
まず、既存のセルロース系土質改良材による特殊土の改良メカニズムの解明(基礎研究)を行い、その結果に基づき、実用化を目指した現地在来植物を利用した土質改良材の生産技術の開発(応用研究)を行なった上で、特殊土対策工の運用モデルを構築する(社会実装)ことを計画しています。具体的には、既に日本国内で実用化されている古紙を原料とする改良材「セルドロン*」のメカニズムを応用し、現地の特殊土の特性を解析しながら、在来植物由来のセルロース土質改良材を作成する手法を開発します。そして在来植物由来の土質改質材を用いた道路整備手法を開発し、運用モデルの構築を行います。
*国内ベンチャー企業である(株)グロースパートナーズが特許を有する。